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2010年10月08日

『桜並木の住人』(詩・写真)

『桜並木の住人』

いつもの坂道 のぼる夜
雨上がりの桜並木は さくらもちの匂いがする
濡れて踏まれて
溶けかかってる 葉っぱの匂い
ふわあと甘くて ちょっぴりしょっぱい

ここんとこ いろんなことがあり過ぎて
季節もわからなくなってしまった
たくさん泣いて たくさん迷った
焦っても春は来ない
まだ 10月になったばかり

知ってはいても 欲しがる心
季節と季節の間というのが ほとんどの時間
だというのに

ひとりで帰る坂道に
一歩一歩 誰かのことを思い返す
ポシェットの中には さっき手に入れたばかりの
とても大事な物が入ってる
どこにも売ってない 大事な 大事な

花が咲いて 花が散って
忘れてたことを思い出す頃
当たり前のように また咲く
でも違う 同じ花じゃない
この道を歩いた時間を 刻んでる
誰が何度通ったか 葉っぱがちゃんと 数えてる

ほら 春へ春へと 導いてるよ
このペースに 身を任せよう
踏みしめて しっかりと
この感じを忘れずに

あとは願うだけ
二人をピンクに染めるような
かわいい花が 咲きますように


(写真)

桜並木ではありませんが、桜並木風な、雲。
思いがけずに出会う、心を晴れやかにしてくれる景色。
感謝です。

投稿者 midorim : 09:09 | コメント (2)